Past Exhibition

小野耕石

影は内

2024.5.20 Mon. – 6.14 Fri.

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「影」には必ず光が含まれている。

今回の出品作品である 波絵 や D.K.D.S.d. は細いペンで描いた数千数万の点を同じ位置に刷り上げていくわけだが、1版刷っただけでは影は現れない。30版60版と行為を重ねていくと、静かに影は関わってくる。時間が生み出す暗い領域とも言える。もちろん主役は複雑に刷り上げた色(光)なわけだが、向こう側には横たわり混ざり合う逆光がある。色を意識して制作をしてきた僕にとっては発色が下がるやっかいな問題だったが、影こそが僕の作品にとって重要な要素なのだと気付いたとき作品を理解しようとする僕の解釈も変わっていくのだろうと思う。

日が入る森のように光と影は別々の営みを持ち、同時に一つの風景なのです。


2024.5.9. 小野耕石

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YOKOTA TOKYOでは小野耕石の「影は内」展を開催いたします。
版画を刷るという行為を続けていくなかで、作家の色彩と光への関心は、年月とともに影へ—内省的な原風景へと繋がってきました。
本展では2017年にギャラリー(旧 東京パブリッシングハウス)で展示をした《波絵》を拡大完成した作品と、新作の平面作品を交えながら、光が差し込む展示空間で作家の原初の視点に立ち返ります。

小野耕石《波絵》(部分) 2020
©︎Kouseki Ono | Photo: Daisuke Aochi