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YOKOTA TOKYOでは「岡崎和郎 —HISASHI—展」を開催します。
庇(ひさし)をモティーフとする《HISASHI》は岡崎和郎を代表する作品シリーズです。彼独自の「補遺」という概念と結びつき、空間は《HISASHI》によって内部へと迫り出し、天と地に分けられます。そして内と外、彼方と此方、内的な我々の意識をも変化させます。
岡崎和郎(1930-2022)の横田茂ギャラリーでの展示は1989年の「hisashi」展から始まりました。それから展開し続ける岡崎の作品の展示を続けてきましたが、ここで改めて《HISASHI》に立ち返り、岡崎の作品と向き合います。

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横田茂ギャラリーでの岡崎和郎の最初の個展は「hisashi」は1989年(平成元年)でした。
それに先立つ二年ほど前、世田谷のアトリエで石膏の《HISASHI》習作群と対面しました。その翌年に還暦を迎えた岡崎のその後の作品系譜は、その時にはすでに描き終えていたように思います。
一人の作者が作品を手がかりに求めてゆく先は唯一、と思う私には、年毎に彼が思い描いた作品を展示し続けてきました。そしてこの美術家と画廊との二人三脚は、展覧会そのものを思考するためにも大事な時間となりました。
その後も30年以上の時間、ことあるごとに制作中の作品について熱く語り、「HISASHI」展への準備をしている矢先にその語らいは途切れましたが、彼の作品は唯一、在り続けます。
「HISASHI」から始まり「HISASHI」へと 天地人 の大きな円を描いて……。

横田 茂

岡崎和郎

1989年「hisashi」展の展示風景より