YOKOTA TOKYOでは、五月女哲平の初個展『遠くに運ぶ』を開催いたします。
五月女の絵画を前にすると、視線は自然と画面の奥へ向かいます。
幾何学的に区切られた面、見覚えがあるのに、名前の定まらない形象。隣り合うはずなのない色の組み合わせ。画面によく目を凝らすと、幾重にも重ねられた絵具や、異なる素材・技法が層をなしています。
闇のなかに浮かぶかたちや光景、ときには人や乗り物、炎や静物。身近なものから生まれた像は、どこか現実との距離をもって、音が消えたあとに残る残響のように画面に留まります。その奥には、ものを冷静に見つめる眼差しや、親しみを感じてきたものへの愛着、そしてわずかなユーモアも滲んでいるようです。
水平にひらけた土地。陽の移ろい。宵闇の向こうに灯る明かり、そして雪の日……。
作家が育った土地の風景や、絵や描くことが近くにあった日常が、作品のなかに、別の距離をもって現れます。
遠くに運ぶ
風景、身近にあったもの、ある時に感じた空気。それらが絵になり、まだ会っていない誰かのもとへ届くこと。今回のタイトルには、そのような想いも込められています。
遠方を望みながら、五月女哲平のこれまでの制作をたどる機会となります。ぜひ会場でご覧ください。