YOKOTA TOKYOでは白石由子「枝分かれの庭」展を開催します。
白石が夢で見た風景をもとに、ギャラリーの空間を存分に使った色彩による展示構成を行います。
白石が近年取り組んでいる「imaginary architecture (想像のなかの建築)」として、ロンドンで行われた「Through」(Annely Juda Fine Art)に続き、東京では「枝分かれの庭」が展開します。
※展覧会初日 11月11日(月)は、15時より作家が在廊します。
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枝分れの庭 - after The Garden of Forking Paths
枝分れの庭 は夢の御告げであった。
と言うのは、ここ2年間の間にロンドンの画廊と東京の画廊のスペースで、個展の予定が入っていたのだが、何をどうしようか模索中であった。
今年の1月のある晩にいきなり二つのイメージが夢の中にはっきりと現れた。
一つはロンドンのスペース、もう一つは東京のスペース。これはREM睡眠の時に現れた。
私にとって、夢、又は睡眠と脳の間系は昔から興味ある主題だった。
そして今までモチーフとして制作していた imaginary architecture (想像のなかの建築)のプロジェクトの関連として、枝分れの庭が、夢から現実に移行した。
夢の御告げと言う言葉を口にしたが、古代エジプト、ギリシャ神話、日本の民話や神話でも、夢の御告げは神からの又は異次元からのメッセージとして扱われていた。
私は、又アルジェンティンの作家、ボルヘスと夢について共鳴することがある。
“夢を見る人間はこのすべてを、神がその広大無辺な永遠から宇宙の変転の一切を見るごとく、1日で見てしまいます。すると目覚めるときにどんなことが起こるか。私たちは連続的な生活に慣れ親しんでいるので、自分の夢に叙述的形式を与えようとするのです。ところが私たちの夢では複数のことが同時に生起します。”
―― 悪夢『七つの夜』 J.L. ボルヘス 野谷文昭訳
ボルヘスの話は、時には多宇宙やparallel universe(パラレル宇宙)の世界に連れてってくれる。
私の付けたこのプロジェクトのタイトルもボルヘスの短編集からである。
人は眠っている時には起きている時よりも脳が30%以上活発になっていると言う。
又起きている時には使わない脳の場所を使っていると言う。
生きているものは、羽虫も含めて全て睡眠を取る。
やはり何処からかメッセージを受けているのだろうか。
白石由子